今週の話題「君側の奸」2009年5月29日
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今週の話題「君側の奸」2009年5月29日
毎朝の朝礼で何人かの人が印象に残ったニュースを発表することになってい
ますが今朝、脱北者で現在韓国に住んでいる人々の多くは「最近やせ衰えた姿
が公開されている金正日氏に対し同情的な見方をしている」との報告がありま
した。独裁者は常に孤独であり、それはヒットラーも金正日氏も例外ではあり
ません。社会主義を目指す北朝鮮には王室があるはずもありませんが、その実
体は「金王朝専制君主制」に近いといっても過言ではないと思います。以前金
正日氏の肉声の録音を聞いたことがあります。真偽の程は確かではありません
がその中で金正日氏は「自分の周りにいる連中は面従腹背で自分の前では忠臣
のように振舞っているけれども陰では一生懸命働かず全く違う連中だ」と虚無
的発言をしていたのが印象に残りました。彼は決して莫迦ではなく忠臣面して
いる連中の本性を見抜いているようでした。
わが国でも敗戦前の昭和天皇は幼少期から「立憲君主制下における天皇の立
場」を欧州の王室を参考に慎重に考え過ぎ「終戦の決裁」以前には決して自己
の意見を主張されなかったことに付け入り、「君側の奸たち」が昭和天皇の袖に
隠れながら傍若無人に振る舞い、結局無謀な戦争に突入し敗戦を迎えたと考え
ます。強大な権威が存在するとその陰に隠れて勝手気ままに振舞う連中が必ず
現れ、北朝鮮においても同様な「君側の奸」が存在しているのかもしれません。
今の北朝鮮体制を作ったのは共産党支配下の中国であることは間違いありま
せん。1949年新中国が誕生し、1950年に始まった朝鮮戦争では中国と北朝鮮
は共同戦線を組み、米軍を中心とした国連軍と戦い、1953年休戦協定を結んだ
後も中国と北朝鮮の「血の同盟関係」は一枚岩でした。その後始まる中国の文
化大革命下でも北朝鮮は中国を理想として共に社会主義国建設に邁進してきま
した。文化大革命が1976年終結し、1978年から始まった中国の「開放政策」
は次第に「経済は資本主義、国家体制は社会主義」というケインズもマルクス
もエンゲルスも毛沢東も考え付かなかった「奇妙な体制」が始まりました。こ
の体制は論理的背景を持たずに「ぶっつけ本番」でスタートし、壮大なる大実
験でしたがその内論理的矛盾の壁に突き当たるとの大方の予想を見事に裏切り
、今や中国は世界経済を牽引するまでに存在感を増してきました。立派な経済
理論なんてなくても「鉄に木を繫ぐような無茶苦茶な実験」が成功することが
あることを中国は証明してくれました。中国の「奇妙な体制」は北朝鮮にとっ
ては「一種の裏切り」であり、開放政策が始まった頃、北朝鮮の金日成氏(金正
日氏の父親)は中国の裏切りを「修正主義」と批判した時期がありましたが、矛
盾に満ちた中国の圧倒的経済発展は「北朝鮮の修正主義批判」をも吹き飛ばし
てしまいました。純粋に理想の社会主義国建設を目指した北朝鮮は中国の裏切
りに遭い、しかも自国内では金正日氏の前で忠臣面しながら、実際には一生懸
命働こうとしない「君側の奸」たちのせいで社会主義北朝鮮経済は全く振るわ
ず、餓死者が出る始末です。金正日氏の耳には都合の良い情報だけしか入らず、
金正日氏の目の届かないところで偽忠臣たちが「サボタージュ」していること
は明らかです。誰が「君側の奸」だったのか判る日は何時来るのでしょうか?
(文責 井上 豊夫)
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